・2015年2月初め、ST-S333ESXIIの修理調整を承りました。
・いくつか問題点があるそうです。
・以下、作業報告です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」
・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル
【333シリーズの系譜】
・1984 ST-S333ES 49,800円
・1986 ST-S333ESX 49,800円
・1987 ST-S333ESXII 49,800円
・1989 ST-S333ESG 49,800円
・1991 ST-S333ESA 55,000円
・1993 ST-S333ESJ 55,000円
・1994 ST-SA5ES 55,000円
・1997 ST-SA50ES 40,000円
■動作確認------------------------------------------------------------
・実機を見てビックリ!驚きました。
・まるで箱から出したばかりの新品のようです。
・ボディやサイドウッドはしっとりとした艶のある光沢感。
・アンテナ端子や音声端子もピカピカです。
・使用期間はごく短く、あとは箱に入れて長期間保管されていたのでしょうか?
・日頃ボロボロのジャンク品ばかり見ているので本当に感動しました。
・電源オン。表示部もとてもキレイ。文字痩せなし。
・名古屋地区で受信できるFM放送はすべてAUTOモードで受信できました。
・77.8MHz、78.9MHz、79.5MHz、80.7MHz、81.8MHz、82.5MHz OKです。
・78.9MHzはFM三重、79.5MHzはInterFMですが受信OKです。
・私の環境ではご指摘の症状は確認できません。
・各局ともSTEREOランプ点灯。HI-BLEND、MONOでも受信OK。
・IF BAND切替OK。MUTING動作OK。CAL TONE OK。
・受信動作に異常は無さそうです。
・AM放送も付属ループアンテナで受信OKです。
・ただし、出てくる音は異常ありです。
・ボディに手を触れるとキレイな音、手を離すと歪感発生。
・ボディを軽く叩くと歪が発生したり消えたり、、
■内部確認------------------------------------------------------------
・サイドウッドを外してボディを開ける。
・放熱口直下の基板上にはうっすらとホコリが被っている。
・4連バリキャップ → Wide/Narrow切替 → PLL検波 → CXA1064
・LA1235(クアドラチュア検波)は同調点検出用
・LA1245 AM用
■修理記録-------------------------------------------------------------
・本体底の点検口を開けて基板ハンダ面をルーペ観察。
・アースバーに3カ所のハンダ割れ発見。
・このうち1カ所はグラグラ状態でした。
・ここを指で触れると動作確認で発生したノイズが再現されます。
・アースバーのハンダをすべて盛り直して修理完了しました。
・これは333シリーズの定番不具合です。
■調整記録------------------------------------------------------------
・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジしました。
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※50mV
【VT電圧調整】
・IC803-5pin電圧測定
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※21.3V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※7.9V
【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※13.9V
【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ
・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
・IFT201調整 電圧最大へ
・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RT301 R→L
・RT302 L→R
※60dB
【Sメーター調整】
・RT204
【MUTINGレベル調整】
・RT205(Wide)
・RT201(Narrow)
【CAL TONE】
・調整用VRありませんが、Peak Level-3dB 345Hzの波形が出ています。
【AM調整】
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整
■試聴----------------------------------------------------------------
・奇跡的に傷一つ無い美しい個体です。
・日本中探してもこんなにキレイな個体は数えるほどしか残っていないでしょう。
・いつものジャンク品と違い、作業中に傷付けないよう妙に緊張しました(笑)
・修理調整後は受信性能、音質ともまったく問題なしです。
・大切に使ってあげてください。