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PIONEER F-777 修理調整記録

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 ・2024年7月、F-777の故障機が届きました
 ・チューニングノブが固くて重くて、とにかく回せないそうです
 ・バリコンチューナーで時々遭遇する事例ですが、シンセ式でも?
 ・以下、作業記録です

F77712

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 PIONEER F-777 ¥55,000(1992年発売)
 ・オーディオ懐古録 PIONEER F-777 ¥55,000
 ・Hifi engine Pioneer F-777 AM/FM Stereo Tuner (1992)

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■動作確認--------------------------------------------------

 ・本体、リモコン、AMループアンテナ、取扱説明書が揃っていました
 ・本体両サイドの飾り板が欠品ですが全体に傷も少なく状態は良好です
 ・FM/AMアンテナを接続して名古屋地区の放送局で受信テスト開始
 ・事前情報通りチューニングツマミが固くて回せません
 ・代わりに周波数の<-><+>ボタンを操作してテスト続行
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信できました
 ・周波数ズレなし、STEREOランプ点灯、IF BAND切換OK、MUTING動作OK
 ・シグナルインジケータが50%ほど点灯、ちょっと低めかな?
 ・リモコン操作でもオート選局が動作することを確認
 ・チューニングツマミを強引に回して周波数が変化することを確認
 ・メモリボタン操作時に接触が悪いタクトスイッチがいつくかあり
 ・次にAM局の受信テスト、名古屋地区のAM局をすべて受信OKでした
 ・名古屋ではAM局ではステレオ放送は既に終了しています
 ・もはや本機のSTEREOランプは点灯することは無いのですが
 ・AMステレオ対応の信号発生器 KIKUSUI KSG4310 で実験すると
 ・AM受信時にSTEREOインジケーター点灯しました
 ・チューニングツマミが固い以外は動作に問題はないようです。

F77762

■内部確認-------------------------------------------------

 ・IF BAND=Normal → Wide
 ・IF BAND=Super Narrow → Narrow
 ★以下のTPとVRの使い方が分かりません
 ・TP204 VREF
 ・TP205 T-METER
 ・TP208 3DC KILLER
 ・TP209 3D AC BAL
 ・VR208

F77700

■修理記録:チューニングツマミの固着-----------------------

 ・リモコンや本体の周波数<-><+>ボタンで直接操作できるので
 ・そもそもシンセ式チューナーに回転ツマミは不要だと思うのですが、、
 ・さて、バリコン式チューナーでツマミが固い原因は回転軸の固着です
 ・シンセ式チューナーの場合はローターリーエンコーダーの回転軸
 ・念のためフロントパネルを分解してエンコーダー全体像を確認
 ・やはりエンコーダーの回転軸が固着しています
【対策】
  →チューニングツマミを上にして本体を縦置き固定
  →回転軸周囲を養生してから回転軸の隙間に無水アルコール注入
  →注入というより、回転軸の隙間を無水アルコールで浸す感じです
  →養生にはイヤホンの付属品で余っている「イヤパッド」を活用します
  →イヤパッドを裏返しにして回転軸に被せます
  →裏返したイヤパッドをめくると軸に張り付いた「お椀」が完成
  →このお椀に無水アルコールを入れて回転軸の隙間を水没させる
  →しばらく放置すると固着状態が解消されて軸が回転するようになります
  →回転軸先端にマイナスドライバーをセットしてゆっくり回す
  →乾燥した後は仕上げに隙間に潤滑剤シリコンスプレー注入
 ・チューニングツマミは軽やかに回転するようになりました
 ・回転に伴って周波数が上下に変化することを確認しました

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■修理記録:タクトスイッチ洗浄------------------------------

 ・フロントパネルを分解したついでにタクトスイッチを洗浄しました
 ・反応が鈍かったスイッチにエレクトロニッククリーナーを噴射
 ・スイッチON/OFFを各50回ほど繰り返しておきました
 ・反応は復活したと思います

F77745

■調整記録--------------------------------------------------

 ・回路構成の良く似たF-757を参考にして手順を組み立てました

【電圧確認】
 ・TP501(+ 5v)→+4.93v
 ・TP703(+13v)→+12.9v
 ・TP709(+26v)→+24.9v
【FM OSC調整】
 ・アンテナ入力なし、IF BAND=Normal
 ・TP1 → 電圧計セット
 ・90.0MHz → L18調整 → 21.0v±0.1v
 ・76.0MHz → 確認のみ→ 7.6v±0.5v
【FM同調点仮調整】
 ・IF BAND=Normal
 ・TP201-TP202 → 電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → T201(前)コア調整 → 電圧0v±100mv
【RFトラッキング調整】
 ・IF BAND=Normal
 ・TP210-GND → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76.0MHz受信 → L1,T1,T2調整 → 電圧最大
 ・90.0MHz受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・上記手順を数回繰り返す
【IF調整】
 ・IF BAND=Super Narrow
 ・TP210-GND → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → T3,T101,T102,T103,T104調整 → 電圧最大
 ・上記手順を数回繰り返す
 ★T102を調整しようとすると受信音が消失する
 ★正確にはT102に下向きの力が加わると信号消失するような?
 ★T102のハンダクラックか?
【FM検波調整】
 ・IF BAND=Normal
 ・TP201-TP202 → 電圧計セット
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → T201(前)コア調整 → 電圧0v±100mv
 ・83.0MHz受信 → T201(後)コア調整 → 高調波歪最小
 ・83.0MHz受信 → VR201調整 → 高調波歪最小
 ・上記手順を数回繰り返す
【SUB Balance調整】
 ・IF BAND=Normal
 ・TP203 → AC電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → VR205調整 → AC電圧最小
【VCO調整】
 ・TP601~GND → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHz無変調 → VR601調整 → 38kHz±100Hz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzPilot → VR602調整 → 19kHz成分最小
【SUB調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzSUB → L601調整 → Lchレベル最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz → T204調整 → 高調波歪最小
 ・IF BAND=Normal
  ・83.0MHz Lch → VR203調整 → 2次高調波歪最小
  ・83.0MHz Lch → VR209調整 → 3次高調歪波最小
 ・IF BAND=Super Narrow
  ・83.0MHz Lch → VR204調整 → 2次高調波歪最小
  ・83.0MHz Lch → VR210調整 → 3次高調波歪最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・IF BAND=Normal
 ・83.0MHz Rch → VR206調整 → Lchオーディオ出力最小
 ・83.0MHz Lch → VR207調整 → Rchオーディオ出力最小
【MPX NR/ノイズリダクション調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・IF BAND=Normal
 ・MPX NRスイッチ ON
 ・83.0MHz Rch → VR301調整 → セパレーション値20dB
 ※VR301反時計回りに全開し、20dBになるまで戻す
【シグナルインジケーター調整】
 ・IF BAND=Normal
 ・83.0MHz,40dB受信 → VR202調整 → インジケーター40dB 
 ・83.0MHz,80dB受信 → VR101調整 → インジケーター80dB
【AM OSC調整】
 ・アンテナ入力なし、IF BAND=Normal
 ・TP1 → 電圧計セット
 ・ 522kHz → L501調整 → 2.0v±0.2v
 ・1629kHz → TC502調整→ 13.8v±0.2v
【AM RF調整】
 ・TP501 → 電圧計セット
 ・ 603kHz → T501調整 → 電圧最大
 ・1395kHz → TC501調整→ 電圧最大
【AM IF調整】
 ・TP501 → 電圧計セット
 ・999kHz → T502調整 → 電圧最大

F77761

■修理記録:T102に触れると音声が消失する件------------------

 ・本機は底面に点検口がないので基板を外して裏返してみました
 ・T102を確認したところハンダ割れは見当たりません?
 ・おかしいな~?、、と思いながら周辺部を見てみると
 ・原因が分かりました! サーミスタ TH101 の足でした
 ・ハンダ付けされたTH101の足が長く残っていました
 ・T102を調整しようとして下向きの力が加わると
 ・基板が僅かに歪んでTH101の長い足がシャーシに接触するんです
 ・ちょうど基板をネジ止めするためにシャーシが盛り上がっている部分
 ・TH101の長い足を切除、TH102の足も長かったので切除しておきました
 ・これでT102に触れても音声が消失する現象は解消しました
 ・基板を裏返したついでにアンテナ端子や音声端子のハンダを確認
 ・特に気になるハンダクラックはありませんでした

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■試聴------------------------------------------------------

 ・リモコンが使えるチューナーは便利で楽チンですね
 ・回転軸が固着して回せなくなっても実害はありません
 ・そもそもシンセチューナーにチューニングツマミは不要に思うのですが

F77710

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