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KENWOOD D-3300T 修理調整記録10

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 ・2024年3月、D-3300Tのメンテナンスをお引き受けしました
 ・以下、作業記録です

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
 ・KENWOOD D-3300T 取扱説明書 日本語版PDF

D3300t02_20240428083001D3300t11

■動作確認--------------------------------------------------

【提供者様からの事前情報】
 ・電源投入後、チューニングシグナルがズレを起こす
   →特に寒い時期は症状が顕著
 ・時々ボツっという大きな音を発する
   →悩ましいのは時々という点で頻発はしない
 ・メインスイッチの入れる時、切る時にスイッチに引っかかりがある
   →意識して真上からしっかり押せば引っかかりも少ない
 ・正面の表示窓内「STEREO」の赤い表示が暗い

D3300t05_20240428082901

【当方での確認事項】
 ・外観に目立つキズは無くフロントパネルは美品と言える状態
 ・背面端子も光沢があって外装状態は良い
 ・さてFMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数などの表示部が明るく点灯、文字痩せは見受けられない
 ・オート選局(上り方向)では-0.1MHzの周波数ズレでFM局を受信
 ・オート選局(下り方向)では周波数ズレなし
 ・RF切換(DIRECT/DISTAMCE)、IF BAND切換(WIDE/NARROW)OK
 ・固定/可変出力端子ともに音声で確認、動作に異常なし
 ・STEREOインジケーターが赤く点灯するが、中央部がやや暗い
 ・NARROWインジケーターの表示がちょっと暗い、薄い
 ・当方での受信時には「ボツッ」という雑音は確認できなかったです

■修理記録:電源回路のハンダ割れ----------------------------

 ・KENWOODサービスの修理歴シールなし
 ・部品交換歴は無さそうと思いつつハンダ面を確認していたら、
 ・電源回路の放熱板付きTR2個と三端子レギュレータにハンダ割れ発見
  → Q26:2SD1266
  → Q27:2SB941
  → IC11:uPC78M05
 ・高熱に晒された影響か、ハンダがすっかり痩せてひび割れていました
 ・速攻でハンダを盛り直して修正完了しました

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■調整記録--------------------------------------------------

【本体設定】
 ・IF BAND:WIDE
 ・RF SELECTOR:DISTANCE
 ・QUIETING CONTROL:NORMAL
【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L5調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.9V
 ・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測25.0V
 ★TC5が過敏に反応して数値が定まりにくい
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV ※実測-125mV
 ・TP16~TP17 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV ※実測+385mV
【RF調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76MHz受信 → L1~L4調整 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → L10,L11,L22調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → L11調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
 ・83MHz,20dB受信 → VR1調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
 ・電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz,50dB → VR3調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz,80dB → VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP15に周波数カウンタ接続
 ・83MHz,80dB → VR5調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz,ST信号 → VR1調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
 ・83MHz,ST信号 → L20調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz,SUB信号 → L19調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz,MONO → VR3調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz,MONO → VR4調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz,MONO → VR6調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz,L信号 → VR5調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz,SUB信号 → VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6】
 ・83MHz,MAIN信号 → VR8調整 → 歪率最小
【歪調整7】
 ・83MHz,L信号 → VR9調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,MAIN信号 → VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
 ・83MHz,R信号 → VR4調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
 ・83MHz,L信号 → VR3調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz.L/R信号 → VR2調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・REC CAL オン
 ・VR4調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置

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■修理記録:フロントエンド TC1~TC5総交換-------------------

 ・上記調整でOSCトリマTC5が過敏に反応することを確認
 ・過去機の経験からトリマコンデンサの接点劣化が予想されます
 ・そこでTC1~TC5をすべて新品(10pF)に交換しました
 ・不定期に発生するという雑音対策になったかもしれません

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■修理記録:最終オーディオ回路LPF洗浄-----------------------

 ・ローパスフィルター L21(L79-000-0000)
 ・L21の裏面を見ると内蔵コンデンサーが一部黒く変色していました
 ・左右chに音量差があったり片chだけ雑音が入る症状の原因です
 ・本機でこの症状があったわけではありませんが、
 ・過去機の経験からノイズの発生源である可能性あります
 ・対策としてL21裏面にエレクトロニッククリーナーを軽く噴射
 ・見える部分だけを柔らかい刷毛で清掃
 ・洗浄前後で音に変化無かったですが、気休めにはなりました

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■修理記録:電源スイッチの引っ掛かり対策--------------------

 ・電源スイッチを押すとき、確かに引っ掛かりがあります
 ・同じ形状のKT-1100D、KT-2020、KT-3030でも時々遭遇する症状です
 ・これはフロントパネルの取り付け位置を左右に少しズラせば解消します
 ・フロントパネル固定ネジを緩め、左右に少し動かして最適位置を探す
 ・可動範囲は1mmも無いので、ほんの僅かな微妙な位置決めです

D3300t03_20240428082901

■試聴------------------------------------------------------

 ・部品交換と再調整によってよい性能を取り戻したと思います
 ・当方での作業中に「ボツッ」という雑音は確認できませんでした
 ・この状態でお返ししますので動作確認の続きをお願いします

 → note BLUESS Laboratory


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