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KENWOOD KT-3030 修理調整記録6

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 ・2024年1月、KT-3030の故障機が届きました
 ・起動時にノイズ発生、さらに左右の音に音量差があるそうです
 ・以下、作業記録です

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-3030 ¥120,000(1984年頃)
 ・オーディオ懐古録 KENWOOD KT-3030 ¥120,000
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-1100SD FM Stereo Tuner (1984)

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■動作確認--------------------------------------------------

<提供者様からお聞きした情報>
 ・最初電源を入れてしばらくは左chの音が大きい
 ・しばらくすると右chにガリ音というか、音が歪む瞬間がある
 ・その後は左右正常音量に戻る
 ・電源投入時に正常に聞こえていてもそのうち左右の音量差が出る
 ・起動時以外も長く聞いていたりすると症状が出やすい
<当方での確認事項>
 ・事前情報があったので電源オン直後の様子を注意深く観察しました
 ・背面の可変出力端子で確認したところご指摘の症状を確認しました
 ・電源オン直後はRchの音が約-4dB小さい、聴感ではっきり分かります
 ・しばらくすると(10秒くらい)すぐに左右の音量差は解消しました
 ・正常に戻る瞬間に右chから「ガリガリ」音が聞こえました
 ・オート選局や各種機能切換などの基本動作は正常です
 ・本体正面の固定出力端子も同様に試しましたが同じ症状でした
 ・別件ですが本体の周波数表示部に文字欠けがありました
 ・「88.8」の一部セグメントが振動で点いたり消えたりします

■内部確認--------------------------------------------------

 ・KENWOODサービスによる修理記録シールはどこにもありません
 ・内部と基板面を見た感じでも修理痕・部品交換痕は見当たりません
 ・つまりオリジナル状態だと思います
 ・起動後しばらく経って安定稼働した状態で一通り調整してみました
 ・左右同音量になったと思った状態でも実際は約1dBの差がありました
 ・やはりRchの方が少し音量が小さいです
 ・調整したところ特に異常個所はなく調整手順が正常に完了しました

Kt3030

■修理記録:接点洗浄----------------------------------------

 ・本機はフロントに固定出力端子、背面に可変出力端子を備えています
 ・左右の音量差やガリが気になる場合はまず可変抵抗の不調を疑います
 ・そこで可変出力端子のVRをエレクトロニッククリーナーで洗浄
 ・続いてフロントパネルにあるIF BAND切換のスライドVRも同様に洗浄
 ・接点不良を疑いましたがここは問題なかったです

■修理記録:ローパスフィルター L29(L79-0107-05-521)---------

 ・調整手順が正常完了しても左右の音量差、片chだけの雑音、、
 ・調査の結果、最終オーディオ回路のLPF:L29前後で様子が異なるが判明
 ・そこでL29(L79-0107-05-521)を取り外して前後回路を直結したところ
 ・起動時の音量差も雑音も解消しました

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 ・L29の裏面を見ると内蔵コンデンサーが黒く変色しています
 ・まずRch側の内蔵コンデンサーを洗浄してみました
 ・L29裏面からエレクトロニッククリーナーを軽く噴射
 ・見える部分だけを柔らかい刷毛で清掃
 ・この状態で基板に再度取り付けて動作確認したところ、、
 ・電源オン時の左右の音量差は解消しました
 ・通常稼働時の左右の僅かな音量差も解消しました
 ・不具合の原因はこのL29で間違いないようです
 ・再度L29を基板から取り外し、Lch側のフィルターも洗浄しました
 ・作業後1週間のランニングテストでも不具合は再発しません
 ・不具合が再発する場合、次はコンデンサの除去と外付け追加ですが
 ・今回は洗浄だけに留めておきます

■修理記録:7セグメント表示の一部欠損-----------------------

 ・たとえば「80.7」MHzの「8」や「0」の一部が欠損します
 ・本体を軽く叩くと点いたり消えたりするのでハンダクラックが原因か?
 ・そこで表示管に繋がる基板のハンダ付けをやり直しました
 ・2階基板の裏面のハンダは底面から慎重にアクセスして修正しました
 ・もう大丈夫です

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■調整記録--------------------------------------------------

 ・輸出機KT-1100SDのサービスマニュアルをベースにして一部アレンジ
 ・IF BAND スイッチ記号
  (左端)N2 ← N1 ← (中央) → W2 → W1(右端)
【本体設定】
 ・RF SELECTOR:DISTANCE
 ・IF BAND:W1(右端位置)
【VT電圧】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76.0MHz → L6調整 → 3.0V ※実測 3.1V
 ・90.0MHz → TC6調整 →24.0V ※実測24.3V
【検波調整】
 ・TP7~TP8 → 電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → L21調整 → 0.0V ※実測220mV
【RF調整】
 ・Multipath V端子 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76.0MHz → L1~L5調整 → 電圧最大
 ・90.0MHz → TC1~TC5調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・Multipath V端子 → 電圧計セット
 ・83.0MHz → L11,L12調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz →L14,L18調整 → 電圧最大
【MPX VCO調整】
 ・TP9 → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHz → VR12調整 → 76.0kHz
【PILOT CANCEL調整1】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST信号 → VR11調整 → 19kHz信号最小
 ・83.0MHzST信号 → L26 調整 → 19kHz信号最小
  ※左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzSUB信号 → L28調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DET】
 ・83.0MHz(MONO信号,400Hz)→ VR1調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
 ・83.0MHz(MONO信号,1kHz)→ VR2調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
 ・83.0MHz(MONO信号,1kHz)→ VR4調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO/L】
 ・83.0MHz(L信号)→ VR3調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO/SUB】
 ・83.0MHz(SUB信号)→ VR5調整 → 歪率最小
【歪調整6 STEREO/MAIN】
 ・83.0MHz(MAIN信号)→ VR6調整 → 歪率最小
【歪調整7 STEREO/L】
 ・83.0MHz(L信号)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整8 W2】
 ・IF BAND=W2
 ・83.0MHz(SUB信号)→ VR8調整 → 歪率最小
【歪調整9 N1】
 ・IF BAND=N1
 ・83.0MHz(SUB信号)→ VR9調整 → 歪率最小
【歪調整10 N2】
 ・IF BAND=N2
 ・83.0MHz(SUB信号)→ VR10調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 W1】Super Wide
 ・IF BAND=W1
 ・83.0MHz(R信号)→ VR13調整 → Lchもれ最小
 ・83.0MHz(L信号)→ VR14調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整2 W2】Wide
 ・IF BAND=W2
 ・83.0MHz(R/L信号)→ VR15調整 → もれ最小
【SEPARATION調整3 N1】Narrow
 ・IF BAND=N1
 ・83.0MHz(R/L信号)→ VR16調整 → もれ最小
【SEPARATION調整4 N2】Super Narrow
 ・IF BAND=N2
 ・83.0MHz(R/L信号)→ VR17調整 → もれ最小
【SIGNAL METER調整】
 ・83.0MHz → VR18調整 → 最上段ドット点灯
【TUNING METER調整】
 ・83.0MHz → 2階基板VR2調整 → 中央の白セグメント点灯位置
【MODULATION METER調整】
 ・83.0MHz → 2階基板VR1調整 → 100%位置で点灯

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■試聴------------------------------------------------------

 ・1週間のランニングテストでは不具合の再発は無かったです
 ・やはりKT-3030、2020、1100D辺りは安心して聴けますね

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 ・note:BLUESS Laboratory


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