Quantcast
Channel: BLUESS Laboratory
Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

SONY ST-S555ES 修理調整記録2

$
0
0

 ・2023年12月、555ESの故障機が届きました
 ・専用の音声信号ケーブルも同梱されていました
 ・以下、作業記録です

555es08_20240204084201

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-S555ES FM STEREO TUNER ¥65,000
 ・オーディオの足跡 SONY ST-S555ES ¥65,000(1982年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-S555ES FM Stereo Tuner (1982-87)

555es02_20240204084101555es14_20240204084201

 ・555ESと555ESX、型番は似ていますが中身は別物です
 ・555ES → ST-J75やST-JX8とほぼ同じ構造
 ・555ESX → その後の333シリーズに繋がる基本形

■動作確認--------------------------------------------------

 ・外装に目立つキズは無いが全体に経年の汚れ
 ・放熱口から内部を覗くと大量のホコリが見える
 ・さて、テスト環境に設置してFM局の受信を試行
 ・付属の専用ケーブルを介してアンプに接続
 ・電源オンで周波数など表示部点灯、文字欠けや文字痩せはない
 ・各切換ボタンの操作に応じて表示内容は切り換るが、、
 ・オート選局ではすべてのFM局を素通りして受信不可
 ・マニュアル選局でも同様に受信不可
 ・MUTINGオフでも受信不可
 ・アンテナ切換 A/B どちらも受信不可
 ・IF BAND Wide/Narrow ともに受信不可
 ・唯一REC CALトーンだけは聞こえました

■内部確認--------------------------------------------------

 ・基板上の大量のホコリが堆積している
 ・まずは掃除機で吸い取り、さらにエアと刷毛で丹念に清掃
 ・部品交換歴は無さそうなので多分オリジナル状態です
 ・アンテナ2系統:B系は-20dBのアッテネーターをON/OFF可能
 ・フロントエンドは5連バリキャップのパッケージ品
  ・IF段:WIDE/NARROW切換式、Sメーター専用回路あり
  ・FM同調点検出:LA1235(クアドラチュア検波)
  ・検波部:レシオ検波
  ・復調部:uPC1223C
 ・テストポイント(TP3)でVT電圧確認 → 0v
 ・76MHz~90MHz区間全域でVT電圧=0v 変化なし
 ・これでは受信できるはずないですね

555es00_20240204084201

■修理記録:VR601交換---------------------------------------

 ・まず最初に電源系統の電圧チェック
 ・すべてのヒューズ抵抗確認 → 異常なし
 ・続いてTP3(PLL) でVT電圧確認
 ・本来なら76MHz → 1.8v
 ・ところが 0.2vを示したまま76MHz~90MHz全区間で変化しない
 ・原因究明のためまずはPLL回路の点検からスタート
 ・IC601(CX778A) → Q601(2SK30A) → Q602(2SC1362)
 ・調査の結果 RT601(102)の抵抗値が無限大、断線状態でした
 ・これを同値の半固定抵抗に交換したところ
 ・VT電圧が出現し規定値に設定できました
 ・外形サイズが違うので足を細工して取付けました
 ・後述の調整作業でFM受信できるようになりました
 ・RT601は見た目も回転フィーリングも問題ないのに故障でした

555es20_20240204084401555es21_20240204084401555es22_20240204084401555es23555es24_20240204084401

 ・実は、、今回と全く同じ故障事例が過去にありました
 ・SONY ST-JX8 修理調整記録3 2023年4月30日記事
 ・同じPLL回路の同じ半固定抵抗の故障、これは偶然か??
 ・ST-JX8(1981)、ST-S555ES(1982)
 ・両機の製造時期はほぼ同じなので
 ・同じ製造ロットの部品が使われていたかも?

■修理記録:黒ずんだICの足を磨く----------------------------

 ・上記修理によってFM放送を受信できるようになりました
 ・後述の調整手順もすべてクリアできました
 ・しかし受信中に「ザザッ、、ザザッ、」と雑音不定期に混入します
 ・WaveSpectraの波形でベースラインが上下する動きに連動するよう
 ・この手の雑音は発生源を探すのが厄介です
 ・まず最初にアースバーのハンダクラック対策
   →目視で分かるクラックは無いが念のため全個所再ハンダ
   →効果なし
 ・すべてのハンダ箇所をルーペで観察
   →目視で分かるクラック無し
 ・真っ黒に変色したICやTRの足を磨く(マイグレーション対策)
   →IC103(TL071CP),IC203,IC204(TL072CP)→ 効果なし
   →IC605(TMS1024NLL)→ ★当たり!
   →雑音が解消しWaveSpectraの波形もキレイに安定しました
   →暗黒物質が電源ラインかGNDラインに影響していたか?
 ・その他の黒ずんだパーツの足も磨いておきました
   →IC103(TL071CP),IC203(TL072CP),IC204(NE5532P),IC602(761A)
 ・足の磨き方
  →足の表面はエレクトロニッククリーナーを噴射して歯ブラシで磨く
  →裏側は100円ショップで買えるSSサイズの「歯間ブラシ」で磨く

555es25_20240204084601555es26_20240204084501555es27_20240204084501555es28555es29_20240204084601

■調整記録--------------------------------------------------

【VT電圧調整】
 ・TP3 → 電圧計セット
 ・76MHz → RT601調整 → 1.8v
【FM同調点調整】LA1235クアドラチュア検波
 ・R127両端 → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT101調整 → 電圧0v
【フロントエンド調整】
 ・LA1235 13ピン → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz受信 → トリマコンデンサ(2個)調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・TP1 → 電圧計セット
 ・音声出力 → WaveSpectra観測
 ・83MHz受信 → IFT102(黒)調整 → 電圧0v
 ・83MHz受信 → IFT102(赤)調整 → 高調波歪最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
 ・RT301,RT302,RT303 → 反時計回りに回しきる
 ・83MHz,55dB受信 → RT301調整 → 点灯レベル 5
 ・83MHz,55dB受信 → RT302調整 → 点灯レベル 6
 ・83MHz,80dB受信 → RT303調整 → 点灯レベル10
【MUTING調整】
 ・IF BAND → WIDE
 ・83MHz,20dB → RT202調整 → MUTING作動位置
 ・IF BAND → NARROW
 ・83MHz,20dB → RT101調整 → MUTING作動位置
【VCO調整】
 ・TP2 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調)受信 → RT203調整 → 76kHz
 ※TP2に代えてR228左足で測定
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra観測
 ・83MHz受信 →L201,RT202調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra観測
 ・83MHz受信 → RT201調整 → Lch信号最小
 ・83MHz受信 → RT251調整 → Rch信号最小
【オーディオ出力調整】
 ・R215左足 → AC電圧計セット
 ・83MHz受信 → RT204調整 → Lch 0.775v
 ・R265右足 → AC電圧計セット
 ・83MHz受信 → RT254調整 → Rch 0.775v
【CAL TONE調整】
 ・83MHz調整 → RT401調整 → -6dB / 398Hz

555es30_20240204084201

■試聴------------------------------------------------------

 ・セパレーション値は左右とも60dB超、とても優秀です。
 ・ただ専用のACTケーブルの効果は、よく分かりません?

555es03_20240204084201

Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>