・2022年9月初め、初めて見る機種が届きました。
・発売時に購入したワンオーナー品だそうです。
・最近は受信不調になっているとか、、
・さて、直せるでしょうか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-G5 ¥49,800 (1983年発売)
・Hifiengine Technics ST-G5 AM/FM Stereo Tuner (1984-85)
・同じ1983年発売のST-G7(73,800円)の弟機でしょうか?
・メモリボタンのデザインがよく似ている印象です。
■動作確認------------------------------------------------------------
・薄型ボディで奥行きも小さく片手で持てるほどの軽量。
・フロントパネルは経年の汚れ、特に指が触れるボタン類に汚れが目立つ。
・さて、まずは名古屋地区の放送局で受信テストです。
・FMアンテナ端子はこの時期のTechnics製チューナーによくある使い難いタイプ。
・[UP] [DOWN]ボタンの長押しでオートチューニング開始。
・FM受信範囲は76.1MHz~89.9MHz
・電波状況に応じてIF回路を自動選択(normal/super narrow)。手動切換も可能。
・FM受信時、signalボタンをオンにすると電波強度dB表示に切り換わる。
・ただ全局とも90dBを示すので役に立たない。
・mutingはボタン長押しでレベル変更可能 off/20dB/30dB/40dB/50dB
・rec calトーン動作OK
・プリセットメモリーはFM/AMランダムに16局。
・メモリーボタンは1~8しかないが、長押し操作によって9~16に登録可能。
・AMは手元にあった適当なループアンテナで確認
・名古屋地区のAM局を受信できました。
・一通りの動作はOKです。重大な故障は無さそうでした。
■内部確認------------------------------------------------------------
・MITSUMI製小さなフロントエンドパック
・IC101:uPC1018C:AM/FM IF amp
・IC102:uPC1167C2:FM IF det.
・IC301:AN7471S:FM Stereo Multiplex Demodulator ★ 輸出機uPC1161C3
・IC901:uPD1707G:MICROCONTROLLER WITH PLL ★輸出機uPD1704C
・輸出機ST-G5回路図と比較すると検波回路まではほぼ同じ。
・ただMPX回路は全く別物国内機の方が手が込んだ作りです。
→ 国内機 [AN7471S]+ [MN4066B] による Sample & Hold MPX
→ 海外機 [PC1161C3] の左右分離信号をそのまま出力
・シリアルナンバーから製造日が読み取れます:AC3J05=1983年10月5日
・カバーの内側に修理記録シールが貼ってありました。
・パナソニックのメーカーサービスの記録のようです。
→ 7.7.15 → 平成7年7月15日? あるいは 2007年7月15日?
→ メモリ保持用キャパシタ交換 → 確かに交換済み
→ IFT×2 交換 → ハンダ面の痕跡を見るとT101とT102を交換したようです。
■修理記録-----------------------------------------------------------
・交換済みのキャパシタは機能しているようで実際に保持できています。
・その他の故障箇所は無さそうです。
・基板を分解したついでにフロントパネルを洗浄しました。
・メモリーボタンはST-G7と同じ材質(アルミ)みたいです。
・周波数表示部のアクリル内側を磨いたので文字のクッキリ感が増しました。
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧調整】
・フロントエンド横 R2前足 → DC電圧計セット
・76.1MHz → 3.0v ※確認のみ
・89.9MHz → 11.1v ※確認のみ
【検波調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・TP101~TP102 → DC電圧計セット
・83MHz受信 → T101調整 → 電圧ゼロ ※実測-0.5v
・83MHz受信 → T102調整 → 高調波歪最小
・上記作業を数回繰り返す
【RF調整】
・VR501 → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・83MHz受信 → L01~L03調整 → 電圧最大
※中空コイルは過敏に反応するので慎重に!
・83MHz受信 → T01調整 → 電圧最大
【シグナル強度調整】
・83MHz,70dB受信 → VR501調整 → 表示「68dB」
・確認:60dB受信 → 表示「68dB」
・確認:50dB受信 → 表示「62dB」
・確認:40dB受信 → 表示「48dB」
・確認:30dB受信 → 表示「38dB」
・確認:20dB受信 → 表示「26dB」
・確認:30dB受信 → 表示「25dB」
※おまけ程度の機能です
【VCO調整】
・TP301 → 周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調)受信 → VR301調整 → 19kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHzST受信 → L301調整 → 19kHz成分最小
【MPX調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHzST受信 → VR302調整 → Lch漏れ信号最小
・83MHzST受信 → VR303調整 → Rch漏れ信号最小
※左右とも約60dB超(normal,1kHz)、とても優秀な値です。
【Rec level】
・334Hz、-5.2dB ※確認のみ
【AM調整】
・TP201 → 電圧計セット
・ 729kHz(NHK名古屋)受信 → L202調整
・1332kHz(東海ラジオ)受信→ CT201調整
・1053kHz(CBCラジオ)受信 → T201,T202調整
■試聴----------------------------------------------------------------
・検波調整が大幅にズレていました。
・その他調整個所も適正に修正しました。
・セパレーション値が驚くほど優秀です。