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TRIO KT-9900 7号機

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 ・2021年2月、KT-9900の点検をお引き受けしました。
 ・大切に使ってきたワンオーナー品だそうです。
 ・受信動作は正常、でも内部から異音がするそうです。
 ・内部を見たら、何とVICS対策機でした!

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■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-9900 ¥200,000
 ・オーディオの足跡 TRIO KT-9900 ¥200,000(1978年発売)
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-917 ※輸出機

■動作確認-----------------------------------------------------------

 ・フロントパネルやボディに目立つキズは無く外観の状態はとても良い。
 ・電源オン、照明電球点灯、球切れなし。
 ・IF BAND切換インジケーター(緑色LED)点灯OK
 ・SメーターとTメーターが大きく振れて名古屋地区のFM局を受信。
 ・DDL、STEREOインジケーター(橙色LED)点灯
 ・MUTING動作OK。
 ・指針と目盛りのズレはほとんど無い。
 ・出てくる音はステレオ感もあって正常だと思います。
 ・ただTメーターの振れ方が気になる、、
  ・本来はDDLインジケーター点灯と同時にTメーターが中点に引き込まれるはず。
  ・しかし本機はDDLが点灯してもTメーターが中点に引き込まれません。
  ・さらに同調後、Tメーターが中点から左方向へゆっくりズレていきます。
  ・ズレ幅は大きくないのでMUTING作動には至らない。
  ・何かおかしい??

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・底面にKENWOODサービスによる修理歴シールが1枚。
 ・依頼者様のお話によれば、今までに数回の修理歴があるそうです。
 ・KENWOODサービス以外にも民間の修理業者さんの手も数回加わっているとのこと。
 ・内部を見ると電源基板の電解コンデンサーがオーディオクラスに交換済み。
 ・QD検波回路のIC8 HA1137W 交換済み
 ・QD検波回路の電解コンデンサー交換済み
 ・PC検波回路のフィルター修理済み
 ・DDL基板のアナログアンプIC HA1457 → HA1457W交換済み
 ・これまでKT-9900で経験してきた定番の故障個所は既に処置済みでした。

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■内部確認:VICSノイズ対策改造済み------------------------------------

 ・さて、今回の内部確認で特に驚いたのは、、、
 ・検波基板とMPX基板を跨いで空中配線が追加されていることでした。
 ・[検波基板:16番端子] → [抵抗680kΩ] → [ダイオード] → [MPX基板:D4カソード]
 ・この追加配線によって
 ・IF BANDスイッチをNARROWに切り換える → D4カソード側に+1.7vがかかる
 ・その結果SCAフィルター回路が作動する、という改造です。
 ・VICSノイズとはNHK-FM受信時に感じる「サー」という高音域の雑音です。
 ・WIDE受信時に雑音が気になる場合はNARROWに切り換えると雑音が軽減されます。
 ・実はつい先日、まったく同じ改造を L-01T で確認したばかりです。
 ・修理歴シールはありませんが、これはKENWOODサービスによる改造と思います。
 ・これは思いがけない新発見でした!

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■修理記録:Tメーターが中点から左方向にゆっくりズレる------------------

 ・KT-9900のTメータートラブルは何度か経験ありますが、今回の症状は初ケース。
 ・IC8:HA1137W 7~10ピン 電圧計セット ※QD検波の同調点確認
 ・L22調整 → 電圧ゼロに設定した後もゆっくり変化する
 ・この電圧変化がTメーターの針の動きに連動しています。

 ・対策としてSWITCH回路基板で未交換のHA1457を新品交換。
 ・IC4(HA1457)→ HA1457W交換
 ・HA1457の足が真っ黒に変色していましたが、残念ながら交換後も変化なし。

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 ・さて困った、、と思いながらQD検波回路周辺をチェックすると、
 ・基板上に Q10(2SK68)が無いことに気付きました。
 ・Q10は輸出機KT-917回路図には記載が無いのですが国内機に追加された部品です。
 ・Q10以外にも国内機にはいくつかの抵抗やダイオードが追加されています。
 ・配線面を見るとQ10のランドにはハンダ痕があります。
 ・つまりQ10だけ意図的に取り外されたようです。なぜ???

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 ・2SK68の在庫が無いので代わりに2SK117をQ10として追加したところ、、
 ・何とTメーターの動き方が正常になりました。
  →同調後に選局ツマミから手を離す
  →DDLインジケーター点灯
  →同時にTメーター針が中点に引き込まれる
 ・なぜQ10(2SK68)と取り外したのか?ちょっと不思議です??

■修理記録:パルスカウント検波回路のHA1457交換------------------------

 ・パルスカウント検波基板のIC3(HA1457)が未交換でした。
 ・予防措置としてHA1457Wに交換しておきました。
 ・IC3(HA1457) → HA1457W
 ・定番の故障箇所FL6は既に補修済みでした。
 ・FL6のハンダ面に68pFのマイラコンデンサ―が追加されていました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・過去の記録に倣って各部再調整しました。

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■試聴------------------------------------------------------------

 ・内部から異音がする、というご指摘でしたが当方では再現できませんでした。
 ・「ジー」という小さな音だそうです。
 ・原因として考えらえるのは電源トランスの「鳴き」「唸り」でしょうか?
 ・今回も新たな発見があって楽しかったです。

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