・2019年11月、YAMAHA T-9のメンテナンスを承りました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 YAMAHA T-9 ¥98,000(1979年頃)
・オーディオ懐古録 YAMAHA T-9
・Hifi Engine YAMAHA T-9 FM Stereo Tuner (1979)
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観はとても綺麗な状態です。
・電源オン、周波数指針が赤く点灯。
・指針はスムーズに移動します。引っ掛かりはない。
・しかし指針が示す周波数目盛とデジタル表示が一致しない。
・名古屋地区のFM局を受信してみると、、
・デジタル表示の周波数でFM局を受信します。
・指針両側のチューニングインジケーターが正常点灯。
・この時の指針は約-2MHzの周波数を示します。
・シグナルメーターが3~4個点灯、STEREOランプ点灯
■内部確認-----------------------------------------------------------
・電圧確認
+B → +17.2v
-B → -18.6v
9B → + 9.7v
+9 → + 9.7v
■修理記録:OSCトリマコンデンサー------------------------------------
・2MHzもの周波数ズレなので、怪しいのはフロントエンドのOSCトリマか?
・試しにOSCトリマを回してみると、、周波数がまったく変化しない。
・やはりトリマコンデンサーの容量抜けです。
・これを交換するには糸を解いてユニット全体を取り外す大手術が必要です。
・今回は代替策として10PFの代替トリマコンデンサーをユニット上に直付けしました。
・一通り調整したところ、デジタル表示と指針表示が一致しました。
■調整記録-----------------------------------------------------------
【本体切替ボタンの設定】
・RX MODE : AUTO DX
・MUTE/OTS : OFF
・BLEND : OFF
・REC CAL : OFF
【検波コイル調整】
・IC110[IG03210] 20Pin → 電圧計セット(Tメーター電圧)
※20pin代用ポイント → すぐ右側22k抵抗
・電波入力なし → T105調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
・指針を76MHz~90MHzまで移動し中点がほぼズレない事を確認
【OSC調整】
・ダイヤル指針 → 目盛り83.0MHz位置にセット
・83.0MHz,無変調,70dB → TCo調整 → Sメーター最大
※Loは調整不可のためトリマーのみで調整。
※83MHz付近では指針と目盛りがピッタリ合いますが、両端ではややズレます。
【RF調整】
・83.0MHz,70dB,無変調 → TC1,TC2,TC3,TC4,T102調整 → Sメーター最大
※L1,L2,L3,L4 調整が難しいのでノータッチ
【IF歪調整】
・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調 → TC101調整 → 高調波歪最小
・同上 → T102,T103,T104,TC101,VR102,VR103調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
・TP19kHz → 周波数カウンター接続
・83.0MHz,70dB,無変調 → VR108調整 → 19KHz
【38kHz SUB調整】
・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,SUB信号 → T113調整 → Lchレベル最大
【パイロット信号キャンセル調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,PILOT信号 → T114調整 → 19KHz漏れ最小
【セパレーション調整】
・83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,ST → VR105,VR106調整 → 反対信号漏れ最小
【Sメーター調整】
・83.0MHz,100dB → VR110調整 → LED全点灯
・83.0MHz, 0dB → VR109調整 → LED全消灯
【デジタル周波数調整】
・2階基板 VR103横のTPを10kΩ抵抗を介してGND接続
・VR103調整 → 周波数表示(小数点第一位)を微調整
【プリセットチューニング上限位置調整】
・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
・80MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
・80MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する
■修理記録:MUTINGが作動しない----------------------------------------
・上記調整作業は正常に完了し動作も正常、、と思ったら、、
・調整後の試運転でMUTINGが作動していないことが発覚。
・放送局周波数を外れた位置で「ザー」という局間ノイズが消えません。
・以前T-9で、MUTINGが解除されず音が出ない現象を経験しました。
・そのときは内蔵充電池を外したらMUTINGが動作したことを思い出す。
・そこで内蔵充電池を取り外してみましたが、、効果なし。
・しかし基準電圧に変化あり。
・電圧確認
+B:+16.7v→ +17.2v
-B:-18.1v→ -18.6v
9B:+ 7.9v→ + 9.4v
+9:+ 8.6v→ + 9.7v
・特に9B電圧が1V以上も上昇。
・続いてMUTING制御回路の調査。
・MUTING回路に繋がるTR、電解コンデンサ、オペアンプ交換 → 効果なし
・LC7200のMUTING回路に繋がる電解コンデンサ、オペアンプ交換 → 効果なし
・IG03210は他のYAMAHA製チューナーT-7、T-8、T-70でも使われています。
・この内T-70の回路図には「LA2300」と記載がありブロック図もあり。
・ジャンクT-8からIG03210を移植 → しかし残念ながら効果なし
■試聴----------------------------------------------------------------
・MUTINGが作動しない原因が分かりません?
・FM受信に関しては問題ないのでこの状態でお返しします。
・中途半端な感じで申し訳ありません。