・2019年10月、TX-8800II×2台セットの修理調整作業を承りました。
・2台とも直せるか、それともニコイチ合体となるか、、
・実はさらに3台目が加わり、結果的に「サンコイチ」になりました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 TX-8800II 1976年 46,800円
・Hifi engine TX-8500mkII 1977年 $300
■動作確認------------------------------------------------------------
【1号機】
・フロントパネルやボディは比較的キレイな状態。
・電源オン、周波数窓の照明点灯。
・-0.4MHzの周波数ズレで名古屋地区のFM放送を受信。
・Sメーター、Tメーター大きく振れる。
・MUTING動作OK、REC CALトーンOK。
・WIDE/NARROW切替インジケーター点灯しない。
・STEREOインジケーター点灯しない。実際のステレオ感なし。
・AM放送は受信不良。全周波数区間でSメーターが全く動かない。
・局間ノイズも出ない。
【2号機】
・外装は全体にちょっと汚れた感じ。
・電源オン、周波数窓の照明点灯。
・-0.2MHzの周波数ズレで名古屋地区のFM放送を受信。
・Sメーター、Tメーター大きく振れる。
・MUTING動作OK、REC CALトーンOK。
・WIDE/NARROW切替インジケーター点灯。
・STEREOインジケーター点灯しない。ステレオ感も無し
・名古屋地区のAM放送周波数付近でSメーターが振れるが、音が出ない。
・両機ともそれぞれ難ありの状態ですね。
■内部確認------------------------------------------------------------
【1号機】
・WIDE/NARROWインジケータ電球、STEREOインジケーター電球が取り外されている。
・-0.2MHzの周波数ズレでFM受信OK。
・STEREOインジケーターは点灯しないが、波形を見るとSTEREO分離はできている。
・WIDE/NARROWインジケーター点灯しないが、波形を見ると切換動作OK。
・MUTING動作OK。REC CALトーンOK。
・輸出機TX-8500IIのサービスマニュアルに従ってFM回路の調整ポイント確認。
・FM受信は大丈夫そうです。
・一方AMは受信不可。AM用IC(HA1197)の故障か?
【2号機】
・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない。
・FM放送は受信できるもののRchの音が出ていない。
・さらにLchの高調波歪が異常に大きい。
・REC CALトーンもRchの音が出ていない。
・音が出ない原因はミューティング用IC(PA1002)の故障です。
・PA1002への入力信号は正常ですが、Rchの出力がありません。
・AMも音が出ない。こちらもAM用IC(HA1197)の故障のようです。
■3号機入手----------------------------------------------------------
・AM用IC(HA1197)が載っていそうなジャンクチューナーを捜索。
・機種リストをメモにして近所のハードオフへ、、
・偶然にも2軒目のジャンクコーナーにTX-8800IIそのものがありました。
・動作未確認のジャンク機ですが安かったので部品取り目的に確保。
・自宅で通電したところ、照明電球が取り外されていました。
・照明無しでもFM/AMとも受信OK、メーター動作も正常でした。
・狙い通りAM用ICが移植できます。
■合体記録------------------------------------------------------------
・1号機をベース機としてフロントパネル、ツマミ類を分解徹底洗浄。
・2号機からWIDE/NARROW電球、STEREO電球を移植。
・3号機からAM用IC(HA1197)、音声端子、マルチパス端子、ボディを移植。
・PA3001(HA11225):クアドラチュア検波
・PA1001(KB4437):PLL-MPX
・PA1002:オーディオアンプ、ミューティング
・HA1452:オーディオ2chアンプ
・HA1197:AMシステム
・PA2002:電源部
■調整記録-----------------------------------------------------------
・MUTING → OFF
・IF BAND → NARROW
・FUNCTION → FM MONO
【FM OSC調整】
・37番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・90MHz受信 → TCO調整 → 電圧最大
・76MHz受信 → LO調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
・37番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
・76MHz受信 → LA、LR1、LR2調整 → 電圧最大
【FM IF調整】
・VR 1 → 時計回り一杯に回す
・VR10 → 反時計回り一杯に回す
・IF BAND → NARROW
・37番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz,40dB受信 → フロントエンドITF,T2調整 → 電圧最大
【FM同調点調整】
・IF BAND → WIDE
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → T3下段コア調整 → Tメーター中点
・83MHz受信 → T3上段コア調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
・IF BAND → WIDE
・83MHz,100dB,100%受信 → VR2調整 → Sメーター4.8
・83MHz,100dB, 30%受信 → VR2調整 → Sメーター2.5
【NARROWレベル調整】
・IF BAND → WIDE → 信号レベル記録
・IF BAND → NARROW → VR1調整 → 同レベルに
【MUTING調整】
・IF BAND → WIDE
・MUTING → ON
・83MHz,20dB受信 → V9調整 → MUTING作動位置へ
【VCO調整】
・34番端子 → 周波数カウンタ接続
・83MHz,ST信号受信 → VR4調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz,ST信号受信 → VR3調整 → パイロット信号最小
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・IF BAND → WIDE
・83MHz,ST信号受信 → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
・IF BAND → NARROW
・83MHz,ST信号受信 → VR6調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC LEVEL調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・IF BAND → WIDE
・83MHz,ST受信 → 信号レベル記録
・REC CAL オン → VR7調整 → 記録値より-6dB
【AM調整】
・600kHz 受信 → AM2,AM1調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信 → T4,バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・ニコイチの予定が、結果的にサンコイチ(三個一)になりました。
・まるで新品のような良い個体が出来上がったと自画自賛。