・2018年3月、KT-9700の修理調整作業を承りました。
・Lchから雑音が聴こえるそうです。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 TRIO KT-9700 ¥150,000 1976年
・Hifi Engine KENWOOD Model 600T $650 1976
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1976。
・年代相応の汚れ、フロントパネルにいくつか目立つキズ。
・背面パネル左右に取り付けられたプラスチック製のガード部品が破損。
・可変出力のLch端子が破損。ボディ後部の角に凹み。
・過去に落下事故があったかもしれません?
・さてFMアンテナを接続して電源オン。Tメーターの照明電球が切れている。
・SメーターとTメーターの動きは正常。
・IFバンド切替に応じてインジケーター点灯。STEREOランプ点灯。
・MPX filterの赤色LEDが点灯しない。
・固定出力端子で名古屋地区のFM局受信を確認。
・マルチパスH端子からも放送が聞こえる。
・とりあえず正常に受信しているようです。
・ご指摘事項のノイズはまだ確認できません。
■内部確認------------------------------------------------------------
・X01-1250-10:RF 基板
・X02-1090-10:IF 基板
・X02-1110-10:検波基板
・X04-1090-10:MPX基板
・X13-2370-10:スイッチ基板
・X00-1810-10:電源基板
■修理記録:可変出力端子修理------------------------------------------
・Lch端子が大きく変形しています。
・力技で元の位置に戻しました。
・Lchから雑音というのはこれが原因かも?
■修理記録:電球交換--------------------------------------------------
・切れていたTメーター照明電球を取り外し。
・ジャンク箱にあった中古電球に交換。
・次にMPX FILTERの赤色LEDの交換するため基板を分解。
・KT-9700のインジケーター基板を分解するのは初体験です。
・IF BAND用の緑色LEDとSTEREO、MUTING、MPX FILTERを示す赤色LEDが並んでいます。
・赤色LEDは独特の凸型。同時期のTRIO製チューナーでよく見るタイプです。
・他機種では何回か同等部品に交換したことがあります。
・ただ、KT-9700では凸型LEDが基板にハンダ付けされていました。
・手持ちの凸型LEDと交換しようとしましたがサイズが微妙に合いません。
・残念ですが、MPX FILTERを使う場面は少ないのでこのままにしておきます。
■調整記録------------------------------------------------------------
【OSC調整】
・SSG 83.0MHz → フロントエンドOSC調整 → Sメーター最大
※一点調整のため両端では多少のズレが発生します
【RF調整】
・SSG 76.0MHz → L1,L3,L4,L5,L7,L8,L9 → Sメーター最大
・SSG 90.0MHz → TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6,TC7 → Sメーター最大
【IFT調整】
・SSG 83.0MHz → フロントエンドL12調整 → Sメーター最大
・歪最小になるIF周波数=10.73MHz
【Tメーターオフセット調整】
・IF基板(X02-1090-10)12番端子に周波数カウンタ接続
・IFバンド=WIDE
・SSG 83.0MHz → 選局ツマミを回して1.994MHz(*)を示す位置へ
・検波基板(X02-1110-10) VR1調整 → Tメーター中点
※本機の実測IF周波数=10.73MHz
※本機の水晶発振子= 8.736MHz
※第2IF周波数10.73-8.736=1.994MHz
※本来は10.7-8.736=1.964MHzですが実機に合わせました。
【IF歪調整】
・IFバンド=WIDE
・SSG 83.0MHz → Tメーター中点へ
・IF基板(X02-1090-10) L15,L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
・IFバンド=NARROW
・SSG 83.0MHz → Tメーター中点へ
・IF基板(X02-1090-10) L19調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
・IF基板(X02-1090-10) D1カソード側にDC電圧計セット
・SSG 83.0MHz → L20調整 → 電圧最大
・ミューティングスイッチ40dB → VR1調整
・ミューティングスイッチ20dB → VR2調整
【Sメーター調整】
・IF基板(X02-1090-10) D9カソード側にDC電圧計セット
・SSG 83.0MHz → L21調整 → 電圧最大
・SSG 83.0MHz 20dB → VR3調整 → SメーターMIN調整
・SSG 83.0MHz 90dB → VR4調整 → SメーターMAX調整
【出力調整】
・MPX基板(X04-1090-10) R2右足にAC電圧計セット
・SSG 83.0MHz 100%変調信号 → VR1調整 → 500mV
【VCO調整】
・MPX基板(X04-1090-10) TP 周波数カウンタ接続
・SSG 83.0MHz → VR2調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・固定出力端子をWaveSpectraに接続
・IFバンド=WIDE
・SSG 83.0MHz ST信号 → VR3調整 → Rch
・SSG 83.0MHz ST信号 → VR4調整 → Lch
【DEVIATIONメーター調整】
・SSG 83.0MHz 100%変調信号 → VR5調整 → DEV.メーター100%位置へ
■試聴----------------------------------------------------------------
・ご指摘事項の「Lchから雑音」は確認できませんでした。
・破損していた端子の影響があったかもしれません??
・各部調整して良い音で受信できるようになったと思います。