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PIONEER F-007 修理調整記録2

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 ・2017年12月初め、機器整理のため久しぶりにF-007を出してきました。
 ・動作確認したところFM受信時に雑音が混入します。
 ・英文サービスマニュアルの読み直しと原因究明の記録です。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 PIONEER F-007 ¥95,000(1978)
 ・オーディオの足跡 Pioneer F-007 ¥95,000(1979年頃)
 ・Hifi Engine PIONEER F-28 ※輸出機サービスマニュアルあり

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■クォーツロックシンセサイザー方式------------------------------------

 ・F-007の特徴は何といっても独特のクォーツロック方式です。
 ・サービスマニュアルの回路説明(英文)を読んで適当に意訳しました。

  ・周波数を刻んだ目盛板の奥にコードパターンが配置されている。
  ・指針のユニット内には9個のフォトトランジスタと2個のランプを内蔵。
  ・移動する指針ユニットがコードパターンを照らしフォトトランジスタが読み取る。
  ・読み取った情報でローカル発振周波数を指定する。
  ・水晶振動子の基準周波数とローカル発振周波数を位相比較しローカル発振周波数をロック。
  ・この方式で目盛りズレがなく高い精度のチューニングができ、周波数ズレも発生しない。
  ・ローカル発振回路はバリキャップ(可変容量ダイオード)を2個搭載したツインバリキャップ。
  ・2個のバリキャップは76.1~83.2MHzと83.3MHz~89.9MHz周波数範囲を分担する。
  ・分担する範囲を狭くすることでSN比を改善している。

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■Parallel Balanced Linear Detector / PBLD ----------------------------

 ・パイオニアではこの検波方式を「超広帯域直線検波」とカタログに表記しています。
 ・F-26以降では「Parallel Balanced Linear Detector:PBLD」とされます。

 【超広帯域直線検波】
  ・1974年 Pioneer TX-9900    140,000円
  ・1974年 Pioneer TX-8900     65,000円
  ・1975年 EXCLUSIVE F-3     250,000円
  ・1976年 Pioneer TX-8900Ⅱ    65,800円
 【Parallel Balanced Linear Detector / PBLD
  ・1977年 Pioneer F-26      135,000円
  ・1978年 Pioneer F-007          95,000円

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯。インジケータ類点灯。SメーターOK。ロックランプ点灯。
 ・STEREOランプ点灯し名古屋地区のFM放送を受信しました。
 ・問題なしか、、と思ったら、ときどき「ザザッ、ザザッ」と雑音が混入する。
 ・FM音声の上に雑音が被る感じ。
 ・IF BAND切替でWide/Narrowとも同じ雑音が混入する。
 ・マルチパスH端子からも同じ雑音が聞こえる。
 ・雑音が発生するときにメーター動作や他のインジケーターに変化はない。
 ・やはり長期間放置していると不具合が出ますね。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド=5連バリコン+バリキャップOSC
 ・IF回路 WIDE / NARROW 切替
 ・M5109PR PBLD検波
 ・PA3001A クアドラチュア検波(同調点検出、Sメーター駆動)
 ・PA1001A PLL MPX
 ・PA1002A AF、MUTING動作

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■修理記録:フロントエンド--------------------------------------------

 ・IF BAND切替でWide/Narrowとも同じ雑音が混入する。
 ・マルチパスH端子からも同じ雑音が聞こえる。
 ・固定出力端子をWaveSpectraに接続して波形観察。
 ・すると「ザザッ、ザザッ」という雑音に連動してノイズフロアが大きく変動する。
 ・制御用IC PA3001のクアドラチュア検波出力を直接聞いても同じ雑音が混入する。
 ・つまり雑音の発生源はフロントエンドか?

 ・まずは電源回路の規定電圧チェック。
 ・電源回路5番端子がフロントエンドの電源電圧になっている。
 ・この電圧が11.5V~12.0Vの範囲で変動し、この変動に合わせて雑音が混入している。
 ・5番端子の配線を外して電源回路単体で確認すると約12Vで安定している。
 ・5番端子の配線先はフロントエンド。ということはフロントエンドQ5/2SK61が怪しい?
 ・Q5/2SK61を取り外して確認すると3本の足が真っ黒です。
 ・交換部品が無かったので真っ黒になった足を丹念に磨いて汚れを落とす。
 ・特に足の付け根部分を短絡しないように丹念に清掃しました。
 ・この処置で雑音が発生しなくなりました。そういえば前回のF-007もQ5の故障でした。
 ・同様に同じ 2SK61を使っているQ6も同処置をしておきました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【シンセサイザー基板】
 ・シンセサイザー基板から同軸ケーブルを抜く
 ・TP3 周波数カウンタ接続 → TC調整 → 10.2343MHz
 ・TP6 オシロスコープ接続 → 2ND,6TH調整 → 61.4MHz波形最大
 ・シンセサイザー基板に同軸ケーブル接続
 ・指針を76.1MHzにセット
 ・TP4 オシロスコープ接続 → LPF調整 → 399.8kHz方形波
【OSC VT電圧調整】
 ・TP9 電圧計セット
 ・指針を76.1MHzにセット → L6調整 → 1.07V
 ・指針を83.2MHzにセット → TC6調整 → 7.89V
【RF調整】
 ・SSG76.1MHz 30dB無変調 → L1~L5調整 → Sメーター最大
 ・SSG89.9MHz 30dB無変調 → TC1~TC5調整 → Sメーター最大
【IF調整】
 ・SSG83.0MHz 30dB無変調 → T1調整 → Sメーター最大
【同調点調整】
 ・TP28~TP29間 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → T8調整 → 電圧ゼロ
【IF歪調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → T1調整 → 高調波歪最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz受信 → T2調整 → 高調波歪最小
【IF中心周波数調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → シンセサイザー基板TC調整 → 高調波歪最小
【PBLD検波調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → ※
 ※VR1を左右に大きく回し、音声が出現する範囲の中間位置にセット
【コンパレータ調整 DC Null】
 ・TP23~TP24間 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 電圧ゼロ
【MUTING調整】
 ・83MHz20dB受信 → VR2調整 → ミューティング作動
【Sメーター調整】
 ・83MHz100dB受信 → VR3調整 → Sメーター100dBf
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 → オーディオ出力レベル記録
 ・REC LEVEL CHECKオン → VR4調整 → -6dBセット
【VCO調整】
 ・TP3 周波数カウンタ接続
 ・83MHz変調オフ → VR1調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・83MHzステレオ変調 → VR2,T1調整 → 19kHz成分最小
 ・左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHzステレオ変調 → VR3調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHzステレオ変調 → VR4調整 → 反対ch漏れ信号最小

F007

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・その後、フロントエンドのQ5,Q6は新品の2SK61を調達して交換しました。
 ・周波数ズレ皆無、気持ちよく同調します。
 ・歪率、セパレーションとも良い数値を示します。
 ・操作ボタンのサビ、ボディのサビが気になりますが仕方がない無いですね。

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