・2013年10月終わり、ヤフオクで終了間際のST-9300を見かけました。
・写真で見ると状態はかなり良さそう、オリジナル取扱説明書も付いている。
・ステレオにならない不具合が明記されていましたが、
・でも多分何とかなるでしょう、、ということで思い切って入手。
・年末年始休暇、久しぶりに自分の時間が取れたので以下の作業しました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 Technics ST-9700/ST-9300
・オーディオの足跡 Technics ST-9300 ¥128,000(1975年頃)
・取扱説明書(PDF形式 約4MB) ~以下の記述は取扱説明書より抜粋~
超精密級周波数直線型FM専用7連バリコンを採用したFMフロントエンド
・アンテナ入力端子は300Ω端子を廃止して75Ω接栓端子のみ
・これは本機の性能を最高に引き出すため同軸ケーブルを使用してもらうため
・RF増幅2段をはさんで複同調回路3段、デュアルゲート4極MOS型FETを採用
・発振回路にはアルミコア入り発振コイル、高性能テフロンシリンダー型トリマー採用
・ジャンクション型FETによるバッファー回路
・デュアルゲート4極MOS型FETによるバランスドミキサー回路
群遅延特性と高選択度特性を重視した信号系IF回路、独立した制御系IF回路
【信号系IF回路】
・群遅延平坦8素子形セラミックフィルタ2個使用
・完璧な振幅特性を得るためシングル・イン・ラインIC3個を含め差動6段構成
【制御系IF回路】
・狭帯域セラミックフィルタ(4素子×3個)による理想的な特性
・不飽和性を利用したマルチパスAM信号成分の検出回路
・ミューティング回路はLCフィルタ2段とAND回路による2段の入力レベル制御
PLL方式採用MPXステレオ復調回路 (MPX-IC:SN76115N)
・MPX部38kHzスイッチング信号はPLL方式による純電子式位相保持方式で抜群の安定度
・さらにスイッチング回路部は定評のある二重差動スイッチング回路で構成
・ステレオ歪、非直線クロストーク、セパレーション特性が全領域にわたって優れる
・さらにテクニクス独自の19kHzパイロット信号キャンセル回路を採用
・出力電圧を完全保証(0dB=0.775V/RMS)された低周波出力回路
・安定化した正負2電源と厳選されたローノイズトランジスタによる初段差動増幅
・定電流回路付きSRPP回路により高ダイナミックレンジ、広帯域、定歪率、高安定な増幅部
・出力系はVariableと Fixedの完全分離された2系統
・Variableの出力は立ち上がりカーブ、左右バランス等プリメインアンプと同品質品を採用
完全な安定化、安全対策を施した電源回路
・優れた性能を安定に確保するため完全な安定化された正負の電源回路
・これにより外部からの変動に対しても安定動作
・安全対策についても万全
■動作確認------------------------------------------------------------
・これはホントに奇跡的! フロントパネル、ボディともガンメタ塗装面に目立つ傷がない。
・経年による表面汚れはあるもののヤニ汚れなし。洗浄でピッカピカの美品になりそう。
・重い、、久々のアンプ級重量12kg。
・FMアンテナ端子は75Ω同軸のみ。固定出力、可変出力、マルチパス出力。
・電源投入OK、オレンジ色の照明が美しい。照明用電球にタマ切れはない。
・二つのメーター動作OK。周波数ズレあるもののFM受信OK。ミューティングOK。
・問題はやはりFM放送受信時にSTEREOランプが点灯しないこと。
・でも同調時と離調時に一瞬STEREOランプが点灯することがある。
・タマ切れではない、VCO調整で復旧しそうな予感、これは期待できる!
・底面に製造番号シール AF5L16E024 → 1975年12月16日 製造か?
・テクニクス製品シリアル番号の読み方 ここ→
■内部確認------------------------------------------------------------
・フロントパネル分解清掃。選局ツマミなど3個はアルミ無垢製。
・電源スイッチなどのレバーはプラスチック製、、これはちょっと残念。
・レバー根元部分が3個とも少し欠けているが、操作に支障ない。
【フロントエンド】
・7連バリコン
・CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7(OSC)
・L1,L2,L4,L5,L8,L9,L13(OSC)
【IF基板】
・信号系IF
CF101 → uPC555H → uPC555H → CF102 → uPC557H → T101レシオ検波
・制御系IF(マルチパス検出およびミューティング制御)
CF103 → CF104 → 2SC1686 → 2SC1686 → CF105 → 2SC829 → T102,T103
・VR101 MET LEVEL
・VR102 MUTE DEEP
・VR103 MET ZERO
・VR104 AGC
・VR105 MUTE
【電源回路、MPX回路、オーディオ回路を載せた基板】
・MPX-IC SN76115N
・ミューティング用リードリレー
・VR201 VCO
・VR202 PILOT CANCEL(LEVEL)
・VR203 PILOT CANCEL(PHASE)
・VR401 LEVEL L
・VR402 LEVEL R
・VR403 SEP
・VR501 VOLT ADJ
・基板上に多数ある水色の電解コンデンサの状態が悪い。
・足が腐食していたり、頭が飛び出ていたりするものあり。
・全数交換したいところですが、でも上下2段構造では基板を外してひっくり返さねば、、
・メンテナンスするにはかなり気合が必要です。どうしようかな、、
・ちなみに VR201 VCO をちょっと回したところ STEREOランプ点灯。これは期待通り。
・部品交換は後日のお楽しみに残して、各部調整作業を行いました。
■調整----------------------------------------------------------------
・回路図やサービスマニュアルが見つかりません。
・ST-8600とST-9030Tのサービスガイドを参考に各部調整しました。
【OSC調整】フロントエンド
・90MHz:CT7
・76MHz:L13
【RF調整】
・90MHz:CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6
・76MHz:L1,L2,L4,L5,L8,L9
【信号系 検波調整】
・T101(緑色:センターゼロ調整、茶色:高調波歪調整)
【制御系 検波調整】
・D112足から信号取出し → DC電圧測定
・T102,T103 → 電圧最大(マイナス値)
【VCO】
・VR201 → TP(19kHz)
【PILOT キャンセル】
・VR202,VR203 → WaveSpectraで19kHz漏れ最小
【セパレーション】
・VR403
【AFレベル調整】
・VR401,VR402 L/R レベル同一
【STEREO歪調整】
・フロントエンド T1 ステレオ高調波歪み最少へ
【MUTING調整】
・VR105 MUT
・VR102 MUTE DEEP
【Sメーター振れ調整】
・VR103 MET ZERO
・VR105 MET LEVEL
【調整方法不明】
・電源部 VOLT ADJ ?
・IF部 AGCの調整方法?
■試聴----------------------------------------------------------------
・風格漂う外観、7連バリコン、2系統IF、さすが定価128,000円に相応しい構成。
・ステキな照明と合わせて癒し系BGMチューナーとしては大満足です。
・ガンメタのフロントフェイスとオレンジ色照明、この組み合わせがベリーグッド。
・選局ツマミの回転に合わせて周波数指針がまさに、ホントに滑るように移動します。
・この感触というかフィーリングは独特の気持ち良さです。
・高校生の頃、テクニクスのガンメタ製品に特に憧れていました。
・ただ、FM受信性能や音質面では特別な感動は無いですね。
・いい音なんですけど、でも5連バリコンの中級機と大差ない印象。
・やはり劣化した電解コンデンサなど要交換か?
・多分この機種は手放さないので、リタイア後のお楽しみに取っておきましょう。
<おまけ ST-8600とのツーショット>