・2015年9月、ヤフオクで昭和の香り漂うオールドチューナーを入手しました。
・こういう古い機種をつい買ってしまいます。
・忙しくて着手できなかったのですが、年末休暇でようやく整備できました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 ROTEL RT-1220 ¥59,000(1973年頃)
・Hifi Engine ROTEL RT-1220 ※輸出機のサービスマニュアルあり
・1970年代前期、ということは PLL MPX-IC が登場する以前の機種です。
・SONYならST-5130、TRIOならKT-8005辺りが同級生でしょうか。
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は擦りキズ、打ちキズ多数あってちょっと残念な状態です。
・チューニングつまみの外周部にもキズ多数あります。
・周波数窓の汚れが酷い。分解清掃でキレイなるか?
・背面を見ると固定出力端子、可変出力端子、マルチパスH/V端子が並んでいます。
・アンテナ端子が独特の形状です。これはちょっと使いにくい。
・さて、FMアンテナを接続して電源オン。
・緑色の照明窓、二つのメーター照明が点灯。指針はオレンジ色に点灯。
・FM局の受信確認。Tメーター中点とSメーター最大点が大幅にズレている。
・Tメーター中点と地元放送局は0.3MHzほどのズレ。
・STEREOランプは点灯するのでタマ切れではないが、動作がおかしい。
・FM局受信中はSTEREOランプは点灯しない。しかし離調すると時々点灯する。
・MUTINGは2段階(10uV/30uV)切替式。MUTING自体は動作している。
・MPXフィルターON、高域がわずかに減衰することを確認。
・可変出力VRにガリ。
・AMは問題なさそう。
■内部確認------------------------------------------------------------
・フロントエンド、FM-IF基板、MPX基板、MUTING基板、AM基板が整然と並んでいます。
・FM5連バリコンとAM3連バリコンが前後に連結。
・FMバリコンのシールドケースは外せない構造でした。
・MURATA製セラミックフィルター、レシオ検波。
・LA3300 FM Multiplex Stereo Decoder FM復調機能を備えたIC。
・PLL化される以前の19kHzと38kHzコイルで同調するタイプです。
■調整記録------------------------------------------------------------
・海外版サービスマニュアルに基づいて一部アレンジ。
【FM検波調整】
・何も受信しない状態 → T101上段コア調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
・76MHz受信 → Lo 調整 → Sメーター最大
・90MHz調整 → TCo調整 → Sメーター最大
【FM ANT,RF調整】
・76MHz受信 → LA,LR1,LR2,LR3調整 → Sメーター最大
・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2,TCR3調整 → Sメーター最大
・上記作業を数回繰り返す
【FM検波歪調整】
・WaveSpectraにて観測
・83MHz受信 → フロントエンドIF調整 → 高調波歪最小
・83MHz受信 → T101下段コア調整 → 高調波歪最小
【FM MPX調整】
・83MHz SUB信号 → L301(黒,黄)調整 → Lch出力レベル最大
・83MHz L/R信号 → VR301調整 → 左右のセパレーション最大
※TPに周波数カウンタを接続すると38kHzが観測できる
【FM AUTO調整】
・83MHz STEREO信号 → VR101(IF基板)調整 → ※
※40dB以上でSTEREO、40dB以下でMONOに切り替わるように。
【FM Sメーター調整】
・83MHz 60dB受信 → VR801調整 → 目盛8位置
【FM MUTING調整】
・83MHz 60dB受信 → L801 調整 → MUTING作動範囲を受信周波数に対して左右対称に設定
・83MHz 20dB受信 → VR802調整 → MUTINGスイッチ10uV位置で作動するように設定
・83MHz 35dB受信 → VR803調整 → MUTINGスイッチ30uV位置で作動するように設定
【AM OSC調整】
・600kHz受信 → T202調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信→ CT3 調整 → Sメーター最大
【AM ANT,RF調整】
・600kHz受信 → T201,L003(バーアンテナ)調整 → Sメーター最大
・1400kHz受信→ CT1,CT2 調整 → Sメーター最大
【AM 歪調整】
・1000kHz受信 → T203,204調整 → 歪最小
■試聴----------------------------------------------------------------
・他社製チューナーとはちょっと異なる独特のデザインです。
・フロントパネルを分解清掃した結果、美しい照明が蘇りました。
・パネルやつまみのキズがちょっと残念ですが、遠目では分からないでしょう。
・各部再調整によって FM/AMとも不満なく受信できます。
・このレトロ感満載の雰囲気を大切にしたいです。